芥川龍之介「運」新潮社、よみました。 - 書評あれこれ~

あらすじ 芥川龍之介「運」新潮社、よみました。 読書感想文

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解説あらすじ・読書感想文・解説 天からの掲示に従って物盗りの女が多額の財産を得る物語です。人間が罪の意識を持たずに生きることと、多くの財産を得ることを天秤に掛けた時の人間の感じ方の違いが

描かれています。

《「《物にもよりますが、こんな財物を持っているからは、もう疑いはございませぬ。引剥でなければ、物盗りでございます。-そう思うと、今までは唯、さびしいだけだっ

たのが、急に、怖いのも手伝って何だか片時もこうしては、いられないような気になりました。何さま、悪く放免の手にでもかかろうとするものなら、どんな目に遭うかも知

れませぬ。》

 何故男が財産をそんなに持っているのかを知った女は怖くなりました。目の前にある大量の財宝も、自らにふりかかるかも知れない身体的苦痛に対する恐怖をかき消すかことは出来なかったようです。

《「しかも、その物盗りと云うのが、昨夜、五条の坂で云いよった、あの男だそうじゃございませぬか。娘はそれを見ると、何故か、涙がこみ上げて来たそうでございます。

これは、当人が、手前に話しましたー何も、その男に惚れていたの、どうしたのと云う訳じゃない。が、その縄目をうけた姿を見たら、急に自分で、自分がいじらしくなって

、思わず泣いてしまったと、まあこう云うのでございますがな。まことにその話を聞いた時には、手前もつくづくそう思いましたよー」》

 女は物盗りが縄で縛られて捕まえられているのを見て、罪悪感や羞恥心に苛まれたのだと思います。盗人の物と分かっていても罪悪感や羞恥心はこみあげてくるようです。

《「とにかく、その女は仕合せ者だよ」
 「御冗談で」
 「手前でございますか。手前ならそう云う運はまっぴらでございますな」
 「へええ、そうかね。私なら、二つ返事で、授けて頂くがね」》

 人間の幸福感は人それぞれです。金銭と引き換えに、物盗りがつかまりながらも自分は財産手にしている罪悪感や羞恥心を引きずっていくかどちらがよいかは非常に甲乙つ

けがたい問題です。

 財産と引き換えに、罪悪感や羞恥心を抱えていくことに対する感じ方の違いが描かれています。人間にとって罪悪感や羞恥心の感情を持もたずにいることは、多くの財産を

持つことよりも優先することもあることが分かります。それほど、人間にとって罪の意識は人の心に重くのしかかる物なのだと思います。

芥川龍之介「運」新潮社
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天からの掲示に従って物盗りの女が多額の財産を得る物語です。人間が罪の意識を持たずに生きることと、多くの財産を得ることを天秤に掛けた時の人間の感じ方の違いが描かれています...

2012-06-20 12:35 from まとめwoネタ速neo

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