「若者雇用戦略」を読んで - 書評あれこれ~

あらすじ 「若者雇用戦略」を読んで 読書感想文

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解説あらすじ・読書感想文・解説 6月2日 東京新聞 社説(若者雇用戦略より)

 近年、学生や卒業して間もない社会人の雇用環境は依然として厳しい中で、その原因についての意見と、政府の対応についての評価と批判が述べられていました。

《内閣府が二〇一〇年三月の卒業生を対象にした推計では「就職できなかったり、就職できても三年以内に仕事を辞める人」が高卒は三人に二人、大卒では二人に一人に上ったすぐに辞めてしまうのは希望しない仕事に就かざるを得なかっただろう。胸が痛む数字である。》

 自分の希望しない仕事に就かざるを得なかったというのは、決してここ十数年単位で始まったことではなく、何十年も前からあったことであって、決してそれがすぐに辞めてしまうことの原因には直結しないと思います。何故、三年以内に仕事を辞める人が増えたかといえば、過労死等に見られる過剰な労働時間や社員を時間を掛けて育てるのではなく、すぐに社員を使い捨てにするような、「社員を大切にしない」企業の体質の変化がむしろ原因なのではないかと思います。

《もっと真摯に現状を見つめてほしい。若年雇用崩壊の背景には、第三次産業へのシフトが進んだことで、若者にとっては苦手な「対人折衝」を必要とする職場が増えたことや、高卒の雇用を吸収してきた製造業現場や農業、建設業がグローバル化で縮小したことである。》

 福沢諭吉は《即ち、視察、推究、読書はもって智見を集め、談話はもって智見を交易し、著者演説はもって智見を散ずるの術なり。》と言っています。つまり学問とはただ読書をするだけでなく、事物を視察して、それを分析して自分の意見を述べて他の意見同士で議論を深めていくことであると説いています。大学とは本来そういった対人折衝の訓練を行う場であるはずなのに、若者が「対人折衝」を苦手としているということは大学が本来学生に施すべき訓練を行っていないということになります。学問の本来の趣旨をもう一度見直して、社会にとって有用な人材を教育することが必要だと思います。

《しかし、残念なのは、厚生労働、文部科学、経済産業省それぞれが予算の増額や復活をもくろむ省益優先の姿勢を見せたことだ。例えば、ミスマッチ対策としてはローワークの相談員を全国の大学に派遣するが、大学の就職担当者から異論が出たように、厚労省がハローワーク事業の拡大を意図したものだろう。》

 各省庁の省益優先の姿勢は別として、学生とハローワークの距離を縮めるということは良い事だと思います。個人の経験として学生の就職活動は大学への求人案内やリクナビ等の民間のインターネットサイトが中心になります。そういった媒体だと大学とのパイプのある企業、資金力のある企業に限定されがちなところがあります。ところがハローワークは規模の大小、パイプのある無し問わず、地元の様々な企業からの求人が集まっています。職種も限定されずに幅広い所から選べるので、学生の求人検索の受け皿として有効活用する必要があると思います。

 現在、雇用環境が悪化している要因は、企業の社員に対する考え方の変化と、求められる能力が昔と比べて変化したことが挙げられます。企業側も雇用を企業の社会的責任と捉えて、雇用環境を改善するとともに、就職活動する側も時代の変化による求められる能力の違いと環境の変化を認識して、柔軟に対応していく必要があると思います。

6月2日 東京新聞 社説(若者雇用戦略)
福沢諭吉「学問のすすめ」岩波文庫
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まとめtyaiました【「若者雇用戦略」を読んで】

6月2日 東京新聞 社説(若者雇用戦略より) 近年、学生や卒業して間もない社会人の雇用環境は依然として厳しい中で、その原因についての意見と、政府の対応についての評価と批判

2012-06-07 08:43 from まとめwoネタ速neo

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