未知の世界での奮闘記「若き数学者のアメリカ」 - 書評あれこれ~

あらすじ 未知の世界での奮闘記「若き数学者のアメリカ」 読書感想文

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解説あらすじ・読書感想文・解説 「若き数学者のアメリカ」藤原正彦 新潮社
著者がミシガン大学に研究員として招かれたアメリカでの奮闘を描いた体験記です。「アメリカ対私」という構図から、未知なる土地で自らを鼓舞しながら奮闘していく姿が非常に印象的です。

《どうしてその病に、その時突然とりつかれたのか今もって明確ではないが、一つには、見知らぬ土地で不安につぶされそうな自分を支えてくれる強力ななにかを、無意識に探し求めていたのかも知れない。》

 文章の中で「アメリカに対する対抗意識」を感じさせる場面が頻繁に出て来ます。著者はアメリカに対抗することで自分自身を鼓舞することによって、「自分を支えてくれる拠り所」としていたのかもしれません。

《ここの社会では、独り者は常に除者であり傍観者でしかなく、時には負け犬でさえあった。女友達を持ちたいと願った。それは理屈なしの男としての欲求でもあった。》
《この他にも、さまざまな努力は払ったのだがすべて失敗に終わった。日本でもやったことのないガールなどをアメリカでやっても勝算のないのは当たり前だった。これは年頃の男として単に淋しいというだけでなく、やがてアメリカの男たちに対する劣等感にまで発展していった。》


 一人でいる事の空しさが、社会から除者にされていると感じた著者は慣れないガールハントに性を出しますが失敗に終わります。そして、その空虚感もまたアメリカの男たちに対する劣等感という形での対抗意識に置き換えることで自分自身を支えています。

《ハワイで真珠湾を見た頃から、こころの底に根強く定着し始めた”アメリカ対私”という奇妙な対抗意識が、時と場所を選ばず頭をもたげては、私を悩ませていた。》

 著者が自身の立場を「アメリカ対私」という構図に置き換えて自身を鼓舞することによって、自らの不安から支える拠り所として立ち向かって行く様を描いています。

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