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フランクリン自伝

フランクリン自伝 (岩波文庫)


フランクリン自伝

松本慎一・西川正身訳「フランクリン自伝」岩波文庫

「倫理観」と「合理性」、この2つは時に相反する要素のように思われます。
近年でも合理性を過度に追求したために、法令違反や、
取り返しのつかない事故を招いたりすることが度々聞かれます。
フランクリンは高い「倫理観」を追求するために、「合理的」を犠牲にするのではなく、
むしろ「倫理観」を効率よく求めるために、「合理的」な手法を追求するという一見相反するような要素を見事に両立した。
だからこそ、出版社、印刷業者、哲学者、科学者、政治家と多数の方面において成功出来たのだと思います。

《私は次々にこれらの得の一つをその週の課題として厳重に注意することにきめた。
つまり、最初の一週間は、節制に反する行為はどんな小さいことでもこれを避けるように十分に用心し、
他の諸得は格別に注意しないでなるように任せておき、ただ毎晩その日に犯した過失を書き込むことにしたのである。》P140

フランクリンは節制、即決、勤勉等、身に付けるべき徳を縦軸に、
月~日までの曜日を横軸にとって表を作りました。
そして、その週は節制と決めたら節制に関する事は小さな事でも徹底的に用心した。
そして毎晩、各項目でその日に犯したと思われる過失にチェックを入れた。
こうすることで、自分がどの分野で過失を犯したが一目で分かるようなリストを作りました。
「倫理性」を求めるために、精神論になるのではなく、リストという方法を活用するのが、
「コストパフォーマンス」をもとめるフランクリンの姿をよく表していると思いました。

《「初めの百ポンドさえ溜めてしまえば、次の百ポンドはひとりでに溜る」という諺の真実であることを経験した。
金というものは本来繁殖力の強いものなのである。》P175

「徳」を身に付け信用を得ることで、「信用」が利益を生む、
「利益」を得ても、「徳」を身に付ける、実践することを忘れないことで、
「利益」を得たことで得られる評判が、更に多くの「利益」を生むことになる。
「徳」を実践することで得られる、「正」のスパイラルを実践した人物だと思いました。

《「もし私たちが負けたら、その金でファイア・エンジン(消化ポンプ)を買う動議を出すことにしましょう。
クェーカー教徒もそれには反対できますまい。そこであなたが私を、私があなたをそのための委員に指名すれば、
大砲を買うことができますよ。大砲は間違いなくファイア・エンジン(火器)ですからね。》P185

「徳」を重んじる、フランクリンらしからぬ言動ですが、
やはり普段から、「徳」を実践しているからでしょうか、何か憎めないそんな感じがします。
ただ単に「徳」や「倫理性」だけでなく、処世術も実は身に付けていたという、
フランクリンの意外な一面が垣間見られる文章です。

「信用」が金を生み、「徳」を決して忘れないことで、「正」のスパイラルを築くことでさらなる金を生む。
出版社、印刷業者、哲学者、科学者、政治家と多数の方面で成功したことから、
「徳」はどんな分野にでも活きるのだということを改めて教えられた一冊でした。
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