タイタスアンドロニカス「シェイクスピア著」他に類を見ない悪党、エアロン - 書評あれこれ~

あらすじ タイタスアンドロニカス「シェイクスピア著」他に類を見ない悪党、エアロン 読書感想文

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解説あらすじ・読書感想文・解説

シェイクスピア全集 12 タイタス・アンドロニカス (ちくま文庫)

シェイクスピア

タイタス・アントロニカス
シェイクスピア著 松岡和子訳「タイタス・アンドロニカス」シェイクスピア全集12 ちくま文庫

エアロン
《そうとも、あの2人を指導した教師は俺だからな。
 あのお盛んな助平根性はおふくろ譲りだ、
 まるで切り札みたいに狙った勝負は必ずものにする。
 あの血に飢えた気性は俺から学びとった、
 まるでブルドックみたいに獲物には真っ向から体当たりだ。
 まあ、俺の値打ちの物指しは俺のしたことってわけよ。
 バシエイナスの死体が転がってる落とし穴に
 あんたの弟たちをおびき寄せたのもこの俺だ。
 俺は、あんたの親父が見つけた手紙を書き、
 その手紙に書いたとおりに金を隠した、
 皇后や二人の息子とぐるだったけどな。》P158

 タイタスの娘ラフィーリアの手首と舌を切り落としたのも、
 タイタスの息子二人に冤罪を着せたのも全てエアロンの陰謀だった。
 それをエアロン本人はまるで自分が手柄を取った如く、ほくそ笑んでいる。
 現実にいたらうんざりするほどとんでもない悪党だが、
 それを描く描写にも恐れ入りました。 

《あんたが悔しがることで、俺が一枚噛んでない悪事は
 ただのひとつもないってことだ。》
 あんたの親父から手首をだまし取ったのも俺だ、
 そいつを受け取って一人になったときには、
 あんまり笑い転げたんで心臓が破裂しそうだった。
 親父さんが手首と引き換えに息子二人の生首を受け取ったとき、
 俺は壁の隙間からこっそりのぞいてたんだが、
 親父さんがさめざめと泣くのを見たら心底笑えてきた、》P159

 タイタスが自らの手首を切り落とし、
 二人の息子の釈放を懇願するも、
 手首と引き換えに戻ってきたのは二人の息子の生首だったシーン。
 エアロンはそれを滑稽な様子の如く笑い飛ばしている。
 こんな悪党は他に類を見ない、
 しかし何故か憎めない、
 悲劇の中にも何故か滑稽さを含んで、
 ただ悲しいだけでも、滑稽なだけともない、
 描写が非常に凄いと思いました。
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