吾輩は猫である「夏目漱石著」主人の豚的幸福 - 書評あれこれ~

あらすじ 吾輩は猫である「夏目漱石著」主人の豚的幸福 読書感想文

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解説あらすじ・読書感想文・解説

吾輩は猫である (岩波文庫)

文学名著

解説

夏目漱石著「吾輩は猫である」岩波文庫




《「刑事だって懐手をしないとは限るまい。」
「そう猛烈にやって来ては恐れ入るがね。
君が御辞儀をする間あいつは終始そのままで立っていたのだぜ」
「刑事だからその位の事はあるかもしれんさ」
「どうも自信家だな。いくらいっても聞かないね」

「聞かないさ。君は口先ばかりで泥棒だ泥棒だといってるだけで、
その泥棒が這入るところを見とどけた訳じゃないんだから。
ただそう思って独りで強情を張ってるんだ。」

 迷亭も是において到底済度すべからざる男と断念したものと見えて、例に似ず黙ってしまった。
主人は久しぶりで迷亭を凹ましたと思って大得意である。
迷亭から見ると主人の価値は強情を張っただけ下落したつもりであるが、
主人からいうと強情を張っただけ迷亭よりえらくなったのである。
世の中にはこんな頓珍漢な事はまあまあある。
強情さえ張り通せば勝った気でいるうちに、
当人の人物としての相場は遥かに下落してしまう。
不思議な事に頑固の本人は死ぬまで自分は面目を施こしたつもりかなにかで、
その時以後人が軽蔑して相手にしてくれないのだとは夢にも悟り得ない。
幸福なものである。
こんな幸福を豚的幸福と名づけるのだそうだ。》P367

 
 迷亭の助言に対して、強情を通し得意な顔、いわゆる「ドヤ顔」で満足に浸る主人。
 対する迷亭の方はあきれたあるいは軽蔑の眼で見ているのだと思います。
 最後の「こんな幸福を豚的幸福と名づけるのだそうだ」と言った時の、
「豚的幸福」というネーミングが何ともおかしかったでした。
 それにしても、「その時以後人が軽蔑して相手にしてくれない」
と察する猫の洞察力には恐れ入ります。
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