「金閣寺(三島由紀夫) 溝口の心を捕らえて離さない金閣の光景」 - 書評あれこれ~

あらすじ 「金閣寺(三島由紀夫) 溝口の心を捕らえて離さない金閣の光景」 読書感想文

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解説あらすじ・読書感想文・解説
金閣寺

金閣寺 (新潮文庫)


三島由紀夫
三島由紀夫著「金閣寺」新潮文庫
《そして美は、これら各部の争いや矛盾、あらゆる破調を統括して、なおその上に君臨していた!
 それは濃紺地の紙本に一字一字を的確に金泥で書きしるした納経のように、
 無明の長夜に金泥で書かれた建築であったが、美が金閣そのものであるのか、
 それとも美は金閣を包むこの虚無の夜と等質なものなのかわからなかった。おそらく美はそのどちらでもあった。
 細部でもあり全体でもあり、金閣でもあり金閣を包む夜でもあった。
 そう思うことで、かつて私を悩ませた金閣の美の不可解は、半ば解けるような気がした。
 何故ならその細部の美、その柱、その勾欄、その蔀戸、その板唐戸、その漱清、……
 その他の投影、その小さな島々、その松、その舟泊りにいたるまでの細部の美を点検すれば、
 美は細部で終り細部で完結することは決してなく、どの一部にも次の美の予兆が含まれていたからだ。
 細部の美はそれ自体不安に充たされていた。
 それは完全を夢みながら、完結を知らず、次の美、未知の美へとそそのかされていた。
 そして予兆は予兆につながり、一つ一つのことここには存在しない美の予兆が、
 いわば金閣の主題をなした。
 そうした予兆は、虚無の兆だったのである。》P321

 溝口(私)が金閣を焼き払うために内部に侵入したときの文章。
 金閣のその美しさに心を奪われている様子が伺える。
 細部の美、その柱、その勾欄……と続く文章から目に見える金閣の光景が、
 溝口の心を捕らえて話さない様子が伝わってきます。
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