ユートピア - 書評あれこれ~

あらすじ ユートピア 読書感想文

このエントリーをはてなブックマークに追加

解説あらすじ・読書感想文・解説 トーマス・モア著 平井正穂訳「ユートピア」岩波文庫(第四章 知識、技術および職業について)
 
 現実には存在しない理想的な社会として描かれ、それを現実と対比することで現実への風刺を行っている作品。
 理想とする国の職業のあり方は、現実に理想とすべき働き方であり、机上の空論ではなくまた決して実行不可能ではないものであると感じました。
 
《けだし、国家の制度においては、まず考慮され、求められている唯一の主な目的は、公共生活に必要な職業と仕事から少しでも割きうる余暇があれば、市民はそのすべての時間を肉体的な奉仕から精神の自由な活動と教養にあてなければならないということである。人生の幸福がまさにこの点にあることを彼らは信じているからである。》P89

 肉体的な奉仕から精神の自由な活動と教養に時間を割くことが、人生の幸福につながると述べられている。
 ところが現実は肉体の奉仕に時間を費やて、退屈する隙を与えないようにするほうが幸福であるかのようになっている。

《ところがユートピア人の間では一切のものが秩序整然としており、国家がしっかり安定しているために、新しい地所を求めて新しい家を造るなどということはそれこそ滅多にないといってもいいのである。彼らはそれよりもむしろすでにいたんでいる個所を早急に修理するとか、危かしい家に補強工作を施す方を好むのである。こういうわけで一寸した手間と修繕とを施すことによって、彼らの家は相当に永持ちするのである。したがってこの方面の職人は時には全然仕事がなくなることもあるくらいである。ただし、そういう場合にも、いつなん時仕事があっても、直ちに家を建てることができるようにと、自分の家で木材を切り石材を削っておくことは要求されている。》P87

 仕事は道ばたに開いた穴を埋める事だという話を聞いたことがある。
 穴が開いていると誰かが転んで困るから、穴を埋める、すると幾ばくかの金銭がもらえる。
 むしろ現代は穴を作り出す事が仕事のようになっている気がする。

《それは、労働には僅か六時間の時間しか当てられていないということを見て、あなた方はおそらくこういう状態では若干の必要な物資が欠乏するのではないかと考えるかもしれないということである。しかし事実はけっしてそうではない。生活の必需品にしろ文化品にしろ、あらゆる必要な物資を潤沢豊富にそろえるのには、六時間という時間は決して足らないどころか、むしろ多すぎるくらいなのである。このことは、他の国々においてはどんなに多くの国民があそんで生活しているか、ということをとっくり検討する時、自ずと判明することができる。》P84

 生活に必要な物資を潤沢に揃えるには6時間という時間でも充分過ぎると述べています。

 ユートピアの世界では働く時間は6時間あれば余裕のある暮しをするには充分過ぎるほどで、余った時間を教養にあてなければならないと述べている。
 働く事は生きていく上での幸福の重要な要素になっている。その理由を紐解いてみると仕事を通じて自身の成長が実感出来ることにある。
 働く事以外に自身の成長を感じる方法はあるのか?それが気になる所です。


関連記事

ユートピア(理想郷)と反対の社会、ディストピアを扱った作品

トーマスモア ユートピア ジョージオーウェル「1984年」ハヤカワ文庫
 

書評トーマス・モア ユートピア
 

関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加


書評あれこれ~

書評記事おすすめ
世界文学名著おすすめ日本文学名著おすすめ

コメント
非公開コメント

トラックバック
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます 
Copyright © 書評あれこれ~ All Rights Reserved.