ジョージオーウェル「動物農場」 - 書評あれこれ~

あらすじ ジョージオーウェル「動物農場」 読書感想文

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解説あらすじ・読書感想文・解説 ジョージ・オーウェル著 高畠文夫訳「動物農場」角川文庫
 
 人間たちに搾取される動物たちが、「すべての動物が平等」な理想社会を建設すべく人間たちに反乱を起こす。
 しかし、指導者となった豚のナポレオンはその権力を活用して、自らの体制に反発するものを徹底的に排除し、動物たちを徹底的に搾取する、「恐怖政治」を行い始める。
 動物たちが判断の基準をもたないをいい事に、支配者の都合のいいように踊らされる動物たちが印象的な作品でした。

《「わしがもっと働けばいいのだ」、「ナポレオンはいつも正しい」というこの二つの合言葉が、彼にとっては、すべての難問題に対する充分な解答であるように思われたのだった。》P68

 そのあまりにも実直な姿は誠実であるということを通り越して、もはや洗脳やマインドコントロールされているのではないかとさえ思わせてしまう。
 
《時によると、彼らのうちで年をとった連中は、おぼろげな記憶をいっしょうけんめいたどって、ジョーンズが追放された直後の、反乱の初めのころは、事情がはたして今よりよかったのか悪かったのか、はっきり見きわめようとした。が、思い出せなかった。現在の生活を比べてみる基準が全くなかったし、いつもきまって、すべてがしだいによくなっていることをはっきり示している、スクィーラーの数字の表のほかには、根拠になる資料も何ひとつないのだった。》P136

 物事の良し悪しを判断するには規準がいる。しかし、良し悪しを測るためのものさしを持たない物は、支配するもののいいように使われてしまっている姿が描かれている。

《『アルフレッド・シモンズ、廃馬屠殺・にかわ製造業、ウィリンドン市。皮革・骨粉販売、犬舎販売』きみたちは、あれがどういう意味かわからないのか?ボクサーは、屠殺業者につれていかれようとしているんだぞ!」》P130
《動物たちの中には、ボクサーを連れていった馬車に、「廃馬屠殺業」と書いてあったのを見て、実際、あさはかにも、ボクサーはてっきり屠殺屋に引き渡されるのだ、と早合点した向きもあるようである。(中略)しかし、謎をあかせば、実はきわめて簡単なのだ。あの馬車は、もと屠殺屋のものだったのを、獣医が買って、もとの名前をまだ消していなかっただけのことなのだ。それが誤解のもとだったのである、と。動物たちは、この説明をきいて、肩の荷を下したようにほっとした。》P131

 動物達は病院に搬送されるはずのボクサーが、実際は屠殺業者に連れて行かれたのではないかと勘ぐる。
 しかし、もとの名前を消していなかっただけのことである、と説明するスクィーラーの言葉を真に受けてそれ以上疑うことはなかった。
 支配する側の都合のいいように情報が操作されることで、される側が都合のいいように使われてしまっていることが分かります。

 現在の体制の良し悪しを判断する基準をもたないため、動物達は支配する側のいいように使われてしまう。
 支配される側の動物達があまりにも素直に、支配する側の明らかに改竄された事実を鵜呑みにする姿は哀れみの感情さえ浮ぶ。
 ファシズムによる独裁体制を風刺した作品ですが、現代にも充分あり得る話だと思って読みました。


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