坊ちゃん - 書評あれこれ~

あらすじ 坊ちゃん 読書感想文

このエントリーをはてなブックマークに追加

解説あらすじ・読書感想文・解説 夏目漱石「坊ちゃん」角川文庫

「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。小学校にいる時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かしたことがある。」 

 とあるように、江戸っ子を称して非常に一本気な性格の持ち主です。

 坊ちゃんは愛媛松山にある小学校に数学の教師として赴任します。
 そして、その中でのいつわりにみちた社会に愛想をつかして最後には松山から東京に戻ってくるという物語です。

《今に増給の御沙汰があろぞ、今月か来月かと首を長くし待っておいでたところへ、校長さんがちょっと来てくれと古賀さんにお言いるけれ、行ってみると、気の毒だが学校は金が足りんけれ、月給を上げるわけにゆかん。しかし延岡にならあいた口があって、そっちなら毎月五円余分に、とれるなら、お望みどおりでよかろうと思うて、その手続きにしたから行くがええと言われたげな。-》
 
 坊ちゃんの同僚の古賀は勤務する学校に対して給料を上げてほしいという旨を申し出ていた。

 古賀のことを疎ましく思っていた教頭の赤シャツは、宮崎の延岡であいた口があるというのを口実に、

 古賀を延岡の学校に飛ばしてしまう。

 パワハラという言葉を最近よく聞きますが権力や上の立場を持った人間は、

 時に自らの都合のいいようにそれを行使することがあるというのが読み取れます。

 さらに坊ちゃんと同僚の山嵐が縁日で中学生の喧嘩の仲裁に入った際、

 翌日の新聞に次の様に事実を全く曲解した記事が載せられていました。


《寝ながら、二ページをあけて見ると驚いた。きのうの喧嘩がちゃんとでている。喧嘩の出ているのは驚かないのだが、中学の教師堀田某と、近ごろ東京から赴任したなまいきなる某とが、順良なる生徒を使嗾してこの騒動を喚起せるのみならず、両人は現場にあって生徒を指揮したるうえ、みだりに師範生に向かって暴行をほしいままにしたりと書いて、次にこんな意見が付記してある。本県の中学は昔時より善良温順の気風をもって全国の羨望するところなりしが、軽薄なる二豎子のためにわが校の特権を毀損せられて、この不面目を全市に受けたる以上は、吾人は奮然としてたってその責任を問わざるをえず、吾人は信ず、吾人が手を下すまえに、当局者は相当の処分をこの無頼漢のうえに加えて、彼らをして再び教育界に足を入るる余地なからしむることを。そうして一字ごとにみんな黒点を加えて、お灸をすえたつもりでいる。おれは床の中で、糞でもくらえと言いながら、むっくり飛び起きた。》


 実は縁日の喧嘩騒ぎは教頭の赤シャツの策略でした。また、事実を全く曲解して書かれている新聞の記事も教頭の赤シャツが気に入らない二人陥れるための策略だったのです。

《「だまれ」と山嵐は拳骨をくらわした。赤シャツはよろよろしたが「これは乱暴だ、狼藉である。理非を弁じないで腕力に訴えるのは無法だ」

 「無法でたくさんだ」とまたぽかりとなぐる。「貴様のような奸物はなぐらなくっちゃ、こたえないんだ」とぽかぽかなぐる。 》

 最後に山嵐と坊ちゃんの二人は赤シャツを待ち伏せして、報復行為を加えた後松山の地を去ることになります。

 立場が上にいるものがその立場を乱用する姿と、それに報復した二人の末路が描かれています。

 
関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加


書評あれこれ~

書評記事おすすめ
世界文学名著おすすめ日本文学名著おすすめ

コメント
非公開コメント

トラックバック
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます 
Copyright © 書評あれこれ~ All Rights Reserved.