カラマーゾフの兄弟 - 書評あれこれ~

あらすじ カラマーゾフの兄弟 読書感想文

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解説あらすじ・読書感想文・解説 ドストエフスキー著「カラマーゾフの兄弟」新潮文庫を読みました。父親殺しの罪に対する嫌疑をかけられたことをきっかけに3人の兄弟が、猛烈な勢いでぶつかり合い討論していく様は、エネルギー量において他に類をみない作品でした。

《想像できるかい、零下百五十度だからね!田舎の娘たちのこんないたずらは有名だろう、零下三十度の寒さで新入りに斧をなめさせるんだ。すると、とたんに舌が凍りついて、その阿呆は血みどろになって舌の皮を剥がしちまうのさ。これはせいぜい零下三十度だからこそできることで、零下百五十度となると、指を斧にあてただけで、指がちぎれちまうと思うよ、もし・・・・・・そんなところに斧がありさえすれば・・・・》下P333

 こんな狂気に満ちた人間が描けるのだろうか!と思いました。「もし……そんなところに斧がありさえすれば…」という文章は狂気に満ちた彼の言葉を一旦、トーンダウンさせているが、そのトーンダウンが一層彼の狂気に満ちた性格を引き立てているような気がする。

《そう、僕は人生の渇望にふるえる若い情熱的な友人達の思索が大好きなんだ!『そこには新しい人たちがいる』君はこの春、ここへ来る支度をしながら、こう断定した。『彼らは全てを破壊して、人肉を食うことから出発しようと考えている。愚か者め、この俺にたずねもしないで!俺に言わせれば、何一つ破壊する必要はない。必要なのは人類の内にある神の観念を破壊することだけだ、まさにそこから仕事にとりかかねばならないのだ!それからはじめなければいけないーああ、何一つ理解せぬ盲者どもよ!いったん人類が一人残らず神を否定しさえすれば(その時期は、地質学上の時期と平行して、必ずくると、俺は信じている)、あとは人肉など食わなくとも、ひとりでに、旧来のあらゆる世界観や、そして何よりも、旧来のいっさいの道徳が崩壊し、すべて新しいものが訪れるだろう。》下P355

壮大なスケールがする。まるで自らが神を超えた存在であるかのように知らしめているように感じる!

《明日は十字架で、絞首台じゃないんだ。いや、俺は首を吊ったりしないぞ。知ってるかい、俺は決して自殺できない人間なんだよ、アリョーシャ!卑劣なためと思うか?俺は臆病者じゃない。生きていたいという渇望のためさ!》P364

 人間の「生」に対する執着心が浮き彫りになっている。取り繕う様子も無しに、生への執着を本能のまま剥き出しにしている感じがする。

 登場人物も他に類を見ないとんでもない登場人物ばかりでした。そして、登場人物たちの言葉の端々から発するエネルギーの量が伝わります。

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罪と罰 下


罪を罪とも思わないラスコーリニコフ(ドストエフスキー 罪と罰より)



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