「ウェブ進化論」~Webのもたらした変化と可能性   - 書評あれこれ~

あらすじ 「ウェブ進化論」~Webのもたらした変化と可能性   読書感想文

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解説あらすじ・読書感想文・解説 梅田望夫著「ウェブ進化論―本当の大変化はこれから始まる」ちくま新書を読みました。私達が普段何気なく使っているインターネット、そしてGoogle等の検索エンジン。そんなネットの世界で起きている膨大な変化と、従来からみてどんな点が「革命的」だったのかについて書かれていました。

《そしてブログが社会現象化した第二の理由とは、ネット上のコンテンツの本質とも言うべきこの玉石混合問題を解決する糸口が、ITの成熟によってもたらされつつあるという予感なのである。この本質的問題が解決されるのなら、潜在的書き手の意識も「書いてもどうせ誰の目にも触れないだろう」から「書けばきっと誰かにメッセージが届くはず」に変わる。そんな意識の変化がさらにブログの増殖をもたらす好循環を生み出している。》P139

 「書けばきっと誰かに届く」という思いを実現したことはインターネットの最大の貢献なのではないかと思いました。「書いたものを人の目に触れるようにする」という事が、プロの物書等一部の人に限られたものが、一般個人単位に拡大したことは大きな貢献だと思います。

《リアル世界における「富の分配」は、巨大組織を頂点とした階層構造によって行われるのが基本であるが、その分配が末端まであまねく行き渡らないところに限界がある。しかし、いかに対象が膨大であれ、インターネットにつながってさえいれば、その対象は同時にきめ細かく低コストで処理可能である。グーグルはそんなインターネットの本質を具現化することで、リアル世界における「富の分配」メカニズムの限界を超えようとしている。上から下へどっとカネを流し大雑把に末端を潤す仕組みに代えて、末端の一人一人に向けて、貢献に応じてきめ細かくカネを流す仕組みを作ろうとしている。》P77

 個人の所得を組織や企業だけに依存する必要が無くなったと述べている。アドセンスに代表されるように個人でも所得を得るための方法が、従来と比べて多様化した。格差社会と言われるなかで、大企業の経営者ばかりが何十億という単位の多額の報酬を得ることで、逆に個人に所得が行き渡らないとよく言われる。Googleという世界になだたる大企業のCEOが「富の再分配」の話をしているというのは何だか滑稽に思えました。

《でも「個」の行為を集積すればそれができる。たとえばある記事をブックマークするときに、「個」がそれぞれ勝手に思いついたタグをつける。ネット全体の分類なんて大仰な「全体」を「個」は意識する必要はなく、自分のために、思いついたタグをつけるだけでいい。そして「個」の「タグ付け」という行為をすべてあつめるのだ。無数の「個」が関与するようになれば、「個」の関心領域は広がりを持つから、対照記事も自然に幅広くなる。しかもそれぞれの記事には、「個」が思いついたタグの多様性の分だけさまざまな角度から付されたタグ集ができる。こうしてネット上のコンテンツが、ソーシャル・ブックマークとフォークソノミーによって自動分類され、「全体」として大きな価値を生む可能性がある。》P198

 ネット上にある全てのコンテンツを全てカテゴリー別に分類する事が出来ると述べている。従来は各個人が自己の判断で分類を決めていくと収集がつかなくなるので、、リーダー角の人間が「全体」の構想を練って、個人はそれに従う必要がありました。しかし、全く逆の発想で「個」の行為を集積することで最終的な「全体」の完成系を作っていく発想でした。不特定多数無限大の人々とのつながりをもつためのコストをほぼゼロにする、インターネットがあっての発想だと思いました。

 ネットの世界は「不特定多数無限大の人々のつながりのコストをほぼ0にする」ことで、多大な影響を社会に対して持っている。にも関わらず、ネットの世界は車等の現実の物と違って、手に取れるわけではないため、意識して見ようとしなければ見えない世界でした。そんなネットの世界で今何が起きているかということと、そのような世界の変化をどのように乗り切っていくべきかが書かれた一冊でした。
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