文鳥 - 書評あれこれ~

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解説あらすじ・読書感想文・解説

文鳥・夢十夜 (新潮文庫)


夏目漱石「文鳥・夢十夜」新潮文庫

主人は友人三重吉から文鳥を飼うように薦められる。最初は渋っていた主人だが、三重吉の強い勧めで文鳥を飼うことを決意する。ところが、グウタラなと所がある主人は文鳥の餌やりや、掃除を朝起きるのがおっくうだったり、家人のものがやってくれるだろうという理由から度々文鳥の世話をするのを忘れる。そして、ついに餌を遣るのを忘れた事を理由に文鳥を死なせてしまう。主人は文鳥を飼う事を薦めた三重吉に対して「家人が餌を遣らないから文鳥が死んでしまった」と文句の手紙を書く。三重吉からの返答の手紙からは「文鳥を死なせてしまったことは可愛そうな事をした」とあるばかりで、家人が悪いということについては一言も触れておらず、そこで物語が終わる。

《こう一切万事を調えて置いて、実行を逼られると、義理にも文鳥の世話をしなければならなくなる。内心では余程覚束なかったが、まずやってみようとまでは決心した。もし出来なければ家のものが、どうかするだろうと思った。》P11

 この作品に出てくる主人も「吾輩は猫である」に出て来る主人のように、「書斎に篭っているので大変な勉強家と思いきや、実は机の上に涎を垂らして寝ていた」ようなグ

ウタラな主人が出て来る。「まずやってみようとまでは決心した」の後に、「出来なければ家のものが、どうかするだろう」と続いている所が主人のグウタラな所を表現していて面白かったです。 

《これは少し手数が掛るなと思っていると、それから糞をして籠を汚しますから、時々掃除をして御遣りなさいとつけ加えた。三重吉は文鳥の為には中々強硬である。》P10

 「三重吉は文鳥の為には中々強硬である」という箇所がどこか無責任な感じを受けて面白かったでした。まるで、「おいおい、そこまでしなければならないなどと聞いていないぞ。」という主人の小言が聞こえてきそうな気がしました。

《自分は机の方へ向き直った。そうして三重吉へ端書きをかいた。「家人が餌を遣らないものだから、文鳥はとうとう死んでしまった。たのみもせぬものを籠へ入れて、しかも餌を遣る義務さえ尽さないのは、残酷の至りだ」という文句であった。》P22

 自分が餌を遣るのを忘れて文鳥を死なせてしまった事を伝える手紙を三重吉に書く主人。普段はグウタラな主人だが、文鳥の死について鬼気迫る如く書いているが、「家人が餌を遣らないから」と家人のせいにしているところから、重苦しい雰囲気のはずなのにどこか滑稽に見えてしまうと思いました。

 とりあえず、勝手はみたものの、世話が家族任せになるというのは今も昔も変わらないものなのだと思いました。「吾輩は猫である」に出てきたような無責任でグウタラなのんきものの主人の姿が面白いと思いました。
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