「身の丈起業」のすすめ - 書評あれこれ~

あらすじ 「身の丈起業」のすすめ 読書感想文

このエントリーをはてなブックマークに追加

解説あらすじ・読書感想文・解説

「身の丈」起業のすすめ (講談社現代新書)




一橋総合研究所「身の丈起業」のすすめ 講談社現代新書 を読みました。

 個人の経験則をまとめた主観的な意見を綴った本が多い中で、実務経験豊富なビジネスマンが研究を重ねた結果出された起業についてのノウハウが盛り込まれています。

《自立しないとなぜ不安なのか。それは、自立しないことには、基本的に自分の運命が他人に握られるからです。運命と言うと大げさですが、たとえば、給料や勤務地、仕事の内容は基本的に他人に決められるわけです。》P65

 孫子で《だから、戦いに巧みな人でも、[身方を固めて]だれにもうち勝つことのできないようにすることはできても敵が[弱点をあらわして]だれもが勝てるような態勢にさせることはできない》とあります。雇われるということは自分の力ではコントロールできないことに身を委ねるということです。それよりも自立することで自分の力でコントロール出来るに期待するということはあながち、リスキーなように見えて現実的な選択肢なのかもしれません。 

《「人」が「客」を掴み、「客」が「お金」を払ってくれる。そのお金を使って、さらに一回り大きな商売を仕掛けていく。「人→客→金」のサイクルを作り出し、その回転を大きくしていくことが、起業家の追い求めるべき事業の姿です。「人・モノ・金」ではないのです。》

 もし事業を行うに当たってもっとも大変な事とはなんなのでしょうか?やはり、「客」を獲得することが一番大変なのではないかと思います。逆に「客」さえ集められれば事業を行う上での半分以上の課題は解決したといっても過言では無いような気がします。《「ひとたび起業したら決して後戻りしてはならない」などと言う人がいます。中途半端な覚悟で起業するな、というわけですが、こういった精神論はあまり役に立ちません。(中略)覚悟が必要とか必要でないとかは、性格や環境によるものであって、起業の時に不退転の決意とは、単に自分をモチベートする上での方法に過ぎず、実際には何事も退却は可能です。起業して、しばらくやってみて、うまくいかない場合はサラリーマンに戻る、というのは、結構よくある話なのです。》P121

 中国の兵法書の孫子に《水は地形のままに従って流れを定めるが、[そのように]軍も敵情のままに従って勝利を決する。だから、軍にはきまった勢いというものがなく、またきまった形というものもない。》とあるように、行動を起こすのに「これが正しい」という絶対的な物は存在せず、個々の考え方や環境によってその方法は異なります。不退転の決意をするよりも、時には撤退する事も考慮に入れて、より多くの機会を得る事の方が建設的であるような気がします。

 起業するにあたっての心構えから、「人・モノ・金」の管理についての踏み込んだことまで触れられていました。なかには世間一般で言われている起業者の心得が間違ったイメージであるという事も書かれており、「起業」することについて、個人の経験則のような主観的意見で無く、研究を重ねた結果として出た客観的な意見が盛り込まれていました。
関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加


書評あれこれ~

書評記事おすすめ
世界文学名著おすすめ日本文学名著おすすめ

コメント
非公開コメント

トラックバック
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます 
Copyright © 書評あれこれ~ All Rights Reserved.