ヴェニスの商人 - 書評あれこれ~

あらすじ ヴェニスの商人 読書感想文

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解説あらすじ・読書感想文・解説 シェイクスピア 福田恆存訳「ヴェニスの商人」新潮文庫

あらすじ
 友人バサーニオーの借金のために船乗りアントーニオーは、高利貸しのシャイロックから三千ダカットの借金をすることになる。前々からアントーニオーの事を毛嫌いしていたシャイロックは自らの腹いせのために、金を貸す際の条件として「胸の肉1ポンド分を担保にする」という証文をつきつけ、アントーニオーもそれに同意する。当初返済の目処は十分にある予定だったが、アントーニオーの船が海峡で難破した為、借金返済の目処が立たなくなってしまう。その為、アントーニオーは裁判の場で「証文」の通り胸の肉1ポンドをシャイロックに差し出さなければならなくなり窮地に追い込まれる。しかし裁判官が、証文に「1ポンドの肉」とあるため、「血を一滴たりとも流す事は許されない、また1ポンドから1分の差があった場合でも財産は没収する」という指示から事態は急展開する。その後、シャイロックは胸の肉を切り取ることを諦め、アントーニオーは借金を免れるとともに、友人バサーニオーの借金も返済されてお互いに幸福な生活に戻る事で物語は完結する。

《待て、まだあとがある。この証文によれば、血は一滴も許されていないな―文面にははっきり「一ポンドの肉」とある。よろしい、証文のとおりにするがよい、憎い男の肉を切りとるがよい。ただし、そのさい、クリスト教徒の血を一滴でも流したなら、お前の土地も財産も、ヴェニスの法律にしたがい、国庫に没収する。》P116

 シャイロックの異常な程の「証文」の内容に対する執着心から、胸の肉を切り取らざるをえなくなり、絶対絶命となったアントーニオーの状況を一変させた言葉。この一文によってシャイロックとアントーニオーの立場が一変する。この物語の最も重要なボイントとなる文章。

《乞食のくせに、御大層にめかしこんで市場をのしあるいていたものだったが・・・・・・あの証文を忘れるな!おれの顔さえ見れば、高利貸しとぬかしおって、証文を忘れるな!いつも無利子で金を貸しやがって、それがクリスト教徒の仁義だと!ええい、証文を忘れるなよ!》

 アントーニオーの船が難破した事を受けてシャイロックが放った言葉。「証文」という言葉を度々繰り返している。シャイロックがいかに胸の肉を切り取る「証文」の内容に固執しているかがよく分かる。今は怒りを吐き出せずにいるが、「証文の内容さえ実行されれば全て報われる」という彼の考えが見え隠れしている。シャイロックの嫉妬深さが表れている文章。

《たつさ、それを餌にして、魚が釣れる!腹のたしにはならなくても、腹いせだけは出来ようが・・・・・あの男、おれに恥をかかせた、五十万は儲けの邪魔をしやがった、損をしたと言っては笑い、得をしたと言っては嘲る、おれの仲間を蔑み、おれの商売の裏をかく、こっちの身方には水をかけ、敵方はたきつけるーそれもなんのためだ?ユダヤ人だからさ・・・・・・ユダヤ人は目なしだとでも言うのですかい?手がないとでも?臓腑なし、五体なし、感覚、感情、情熱なし、なんにもないとでも言うのですかい?同じものを食ってはいないと言うのかね、同じ刃物では傷がつかない、同じ病気にはかからない、同じ薬では癒らない、同じ寒さ暑さを感じない、何もかもクリスト教徒とは違うとでも言うのかな?》P72

 サレアリオーに「胸の肉を切り取って何の役に立つのか?」という問いに対してのシャイロックの返答。利害は関係無しに、自らの腹いせをしなければ気がすまないという彼の心情が伺える。

 シャイロックのアントーニオーに対する執念深さが非常に印象深い。現実には「胸の肉」を借金の担保にすることなど、ありえないと思うが、その証文に大真面目に執着するシャイロックの姿が面白い。また、
裁判の途中まではシャイロックが証文通り、胸の肉を切り取る雰囲気
になっていたのが、裁判官の一言で事態が急展開し一転アントーニオー
優勢になっていく展開も非常に印象的でした。

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コメント
非公開コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

2012-11-09 00:33 from 就職活動

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