岸宣仁「職場砂漠」朝日新書 - 書評あれこれ~

あらすじ 岸宣仁「職場砂漠」朝日新書 読書感想文

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解説あらすじ・読書感想文・解説  岸宣仁著「職場砂漠」朝日新書、を読みました。企業が利益を得るために社員を道具扱いする姿と、責任や義務という言葉とは懸け離れた企業の行動が描かれています。

《要するに彼は、自分が常に一番、お山の大将でいなければ気がすまない性格なんですよ。成功はすべて彼のもの、失敗は全て部下のものー自分が一番でいるためには、どんな手段も選ばない。地位を利用したパワハラをしてまで、常に一番で居続けようとするんです。》

 景気後退で利益優先主義と言われる一方で、このような組織を私物化したリーダーの言動もよく見られる。雇用劣化という言葉を見た言葉がありますが、また人の考えも劣化しているように見えてならない。

《「詳しいことは後でわかったのですが、労基署は、この案件を安全衛生課に回すことをこの時決めたようなのです。安全衛生課に回すということは、労働安全衛生法違反でコンピューター会社を摘発することを意味します。法律違反を立件されたうえに、過労死も労災認定され、ましてや、それが公けになったら目も当てられない、と思ったのでしょう。コンピューター会社の態度がコロッと変わりました」
 幹部が妻の自宅に飛んできて、突然、和解をもちかけた。
 「奥さん、会社として一億円出す用意があります。労災を取り下げてくれたら、全額一時金でお支払いします」》

 当初、一向に労災について認めない会社の態度の急変が描かれている。見事なまでの身代りで思わず呆れかえってしまった。一流企業とはいえ、実態はこのような幼稚な対応なのかと思うと何か、空虚感を感じてきました。雇用環境だけでなく、組織を束ねる側の意識までもが劣化していると感じました。 

《「以前にも、パートの女性たちに『死ね』『バカ』『辞めろ』などと言い続けて、何人も辞めさせています。ただし、部下の尻をたたきまくるんだが、結果的に営業の数字はあげて来る。セールスができる社員を会社が大切にするのは、どこも同じでしょう。会社もいじめには感づいているが、成績がいいから問題にしようとしなかった。それどころか、次々に栄転させていったわけです。」》

 『死ね』『バカ』『辞めろ』などという言葉で、ただ感情的に身を任せて人を罵倒する方法が指導でもましてや、お金を貰うプロの行う仕事とはとても思えない。仕事をする上での「プロ意識」というものさえも、利益追求の大義名分を掲げるなかでは必要無くなってしまうのでしょう。

 利益優先主義を大義名分にして、実態は自らの私利私欲を満たすために理性を無くして動物か人間や、組織が暴走していく姿が描かれていました。

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