ロナルド・ドーア著「働くということ」 - 書評あれこれ~

あらすじ ロナルド・ドーア著「働くということ」 読書感想文

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解説あらすじ・読書感想文・解説  ロナルド・ドーア著 石塚雅彦訳「働くということ グローバル化と労働の新しい意味」中公新書,読みました。
 「働くということ」というタイトルから、「人は何故働くのか?」のような哲学的な本かと思いましたが、実際は現在の労働市場に対する分析や考察が書かれていました。

《それらの人々は流動的な労働市場がもたらす選択の自由を求めるのです。彼らが使用者から求めるのは高い給料です。当然とされている失業のリスクに備えて、銀行の預金を増やすことが出来るからです。第二に、彼らは次の仕事に移るために、履歴書に書き加えれる学習経験」を得る機会を求めています。》

 給与も経験も終身雇用が当然とされていた時代はさほど意識せずとも、時間とともに得る事が出来ました。しかし、終身雇用が崩壊することで個人の自発性で給与と経験を得ることが求められるようになったことが、労働市場の流動性を招いたのだと思います。 

《そういう条件で雇用される人々が不安定で、健康保険も休暇も年金もない状態に置かれるのは不幸なことですが、失業よりはましだとされていました。》

 流動的労働市場は給与を上げるチャンスも含み選択の自由を与えていますが、大半の人は実質失業よりはましだと言う理由で自由な選択からは懸け離れた選択肢を迫られています。

《良しとする人は大体前章の終わりであげた、売り手市場にいる希少な技能の持ち主を典型的な労働者と考えます。悪しとする人は、むしろ買い手市場に直面する非熟練労働者のことを考えます。「労働市場の柔軟性」は前者にとって、輝かしい未来への道です。後者にとってはしかし、不安と搾取をもたらす懸念の種なのです。》

 流動的な労働市場は好むにせよ、好まずにせよ労働者の格差を広げる方向に導いていきました。売り手市場にいる労働者が流動的労働市場を求めたことによって、非熟練労働者も無理矢理流動的労働市場に引き込まれた模様です。

 日本、その他の国の区別はさほど意識されて書かれていませんでしたが、世界のどの国も事情は日本とさほど変わらないのだと思いました。
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